アブチロン
アブチロン 久下 建明
赤、黄、サーモン、オレンジ、白の色鮮やかな愛くるしい花をつけるタワー仕立てのアブチロンを玄関先に見かけるようになると、もうすぐ夏が来るんだ、と毎年思う。夏の代表品種であるハイビスカスみたいにトロピカル・イメージは強くないが、小品で粋なトロピカルプランツである。チロリアンアンプで流通するウキツリボクのホクシアとよく似て下垂して咲くのや、ハイビスカスに似た横向きに咲く品種、ハワイでレイに使われる丁子咲きの品種など結構バラエティに富んでいる。花の形の多彩さだけでなく、アブチロンの葉の美しさにも注目したい。ゴットセフィアーナみたいな斑入りの葉、ヘデラにそっくりな斑など葉だけでも十分鑑賞に耐える存在でもある。また、アブチロンは熱帯花木ではあるが耐寒性が強く、関東以西の地域では戸外で越冬でき、わらなどで覆ってやれば寒さが厳しい土地でも冬越し可能であるのも魅力である。好きな人も多数居られるが、まだまだメジャーな位置まで至っていない、そんなアブチロンをじっくりとチェックして欲しい。
アブチロンはアオイ科イチビ属の半つる性の常緑低木で、ブラジルなどの熱帯、亜熱帯が原産地で約100種類が分布する。園芸品種として流通している品種の多くは、シュウジョウカとウキツリボクという原種と、それらからの交配されて出来た交配種である。現在流通している品種の多くがウキツリボク系で、原産地は南米ブラジル南部である。茎が細く半つる状に伸び、花は赤いガクから黄色の花弁が伸び、下垂して咲く特徴がある。チロリアンランプという名前で栽培流通する品種もこの系統である。
*主な品種:
メガポタミクム、スウィング・ベル、ヴァリエガータ、レッドアップル、サヴィッチー、シャスタ、ホワイトキング、ベラ・サーモンシェード、キフアブチロン、ピクツムなど。ゴットセフィアーナの斑に似た葉に、真っ赤な花を咲かせるカニングトン・サリーがおすすめ品種。
*良品の選び方*
草丈がほどほどで、引き締まっているのを選ぶ、弱々しく勢いのない株は避ける。
*管理・注意点*
○置き場所
日当たりがよくて、風が通る場所に置く。直射日光を好み、日陰では花付きが悪くなる。冬は陽が射し込む窓際に置いてやる。
○手入れ
生育が盛んで、こまめに剪定しないと株のバランスが悪くなる。伸び過ぎたら躊躇せずに切り戻してやる。
○水遣り・肥料
土の表面が乾いたら、たっぷり水を与える。冬はやや控えめにする。春から秋まで花を咲き続けるので、10日に1回液肥を与える。生育期の肥料切れを絶対起こさない。
○植え替え
秋が過ぎて花が咲き終わったら株元の葉を数枚残して刈り込み、次の枝が伸びてきて新芽がふいてきたら一回り大きな鉢に植え替える。植え替え後1週間は日陰に置く、その後は日当たりの良い場所に移す。
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